窓際のスパイ
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- ¥1,200
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発行者による作品情報
〈泥沼の家〉と呼ばれるその部署は、英国情報部の最下層だ。不祥事を起こした部員はここに送り込まれ、飼い殺しにされるのだ。若き部員カートライトも訓練中のミスのせいでここに放り込まれ、連日ゴミ漁りのような仕事をさせられていた。もう俺に明日はないのか? ところが英国全土を揺るがす大事件で、状況は一変した。一か八か、返り咲きを賭けて〈泥沼の家〉が動き出す!
APPLE BOOKSのレビュー
ゲイリー・オールドマン主演のApple Originalドラマ『窓際のスパイ』の原作。2010年の初刊行以来、英語圏では8巻以上が発表されている。著者のミック・ヘロンは会社勤めの合間に1日2時間だけの執筆を続けて、本作を完成させたという。そのためか、キャラクターの視点と状況が目まぐるしく変わり、先読みのできない面白さと場面転換のスピード感が生まれている。ジャンルは、イギリスの情報機関“MI5”の情報部員たちが登場するスパイもの。しかし、派手な追跡劇や緊張感みなぎる潜入捜査を成功させるエリートはいない。指示を聞き間違えてテロを防げなかった主人公リヴァーに、機密書類を電車に置き忘れてマスコミに暴露された先輩など、スパイ失格の烙印(らくいん)を押されてきた落ちこぼれたちが所属する部署“泥沼の家”。彼らが、ある大事件をきっかけに一発逆転を狙って右往左往する。リーダーの名はジャクソン・ラム。ドラマではオールドマンが演じるが、原作でのジャクソンのシニカルな物言いと下品な振る舞いもまた味わい深い。“泥沼の家”メンバーのダメさと個性にくすりと笑ってしまうシニカルなスリラー。