天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(1)
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発行者による作品情報
織田信長が天下布武(てんかふぶ)を掲げた頃、陸奥(みちのく)の南部家では内紛が続いていた。新たな時代を予見する九戸党の棟梁・政実(まさざね)は、ついに宗家を見切った。戦の天才「北の鬼」九戸政実が、武者揃いの一族郎党を束ねて東北の地を駆け巡る。著者が故郷を舞台に熱き思いを込めた歴史巨編「陸奥3部作」の最終章、待望の文庫化。(講談社文庫)
APPLE BOOKSのレビュー
豊臣秀吉の天下統一に最後まで抵抗し、「北の鬼」と呼ばれた武将の勇ましい姿を描いた歴史巨編。群雄が割拠する戦国時代にあって、都から離れた陸奥を支配する南部家は、枝分かれした一族が内紛を続け、在地勢力である蝦夷への統治能力も大きく低下していた。南部一族最強といわれる九戸党を率いる九戸政実は、時代の流れと周辺勢力の情勢を冷静に見据え、ついに軟弱な南部宗家を見限る。それは、東北に新たな秩序をもたらす戦いとなるはずだった。ミステリー、SF、時代小説など幅広く手掛けながら、出身地である東北の、歴史に埋もれた英雄にスポットを当て続ける著者が、豊臣秀吉の奥州仕置に反旗を翻し、わずか5,000の兵で10万もの大軍に立ち向かった「九戸政実の乱」を描く。ドラマ化された『炎立つ』『火怨 北の燿星アテルイ』に続く「陸奥(みちのく)3部作」の最終章で、思い入れにあふれた勢いのある筆致に引きこまれる。奈良時代を描いた『風の陣』でも東北の蝦夷の戦を描いているが、中央から見れば辺境に生きる者たちの持つ独立不羈(どくりつふき)の精神が、戦国時代にも受け継がれていることを改めて感じさせる。