香君 上 西から来た少女
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- ¥1,700
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発行者による作品情報
遥か昔、神郷からもたらされたという奇跡の稲、オアレ稲。ウマール人はこの稲をもちいて帝国を作り上げた。この奇跡の稲をもたらし、香りで万象を知るという活神〈香君〉の庇護のもと、帝国は発展を続けてきたが、あるとき、オアレ稲に虫害が発生してしまう。
時を同じくして、ひとりの少女が帝都にやってきた。人並外れた嗅覚をもつ少女アイシャは、やがて、オアレ稲に秘められた謎と向き合っていくことになる。
『精霊の守り人』『獣の奏者』『鹿の王』の著者による新たなる代表作の誕生です!
APPLE BOOKSのレビュー
香り、そして植物、虫…を主軸に据えながら、人間と自然の共存や、国と国の利権争い、政治の駆け引きといった社会構造にまで物語が及ぶ、壮大な異世界ファンタジー『香君』。人並み外れた嗅覚の持ち主の少女、アイシャ。西カンタル藩王ケルアーンの孫であるがために、身を追われていた。他国では奇跡の稲と呼ばれていたオアレ稲の導入を拒み、自国の人々を飢饉に陥れたとされていたからだった。しかし、祖父がオアレ稲を拒んだのには理由があったのだ。香りから、植物や虫が発する声とその意味を聞き取ることができたアイシャは次第にオアレ稲の隠された秘密を知っていくことで、大きな政治的動乱、そしてこれからやってくる厄災に巻き込まれていく…。『精霊の守り人』や『鹿の王』などを手掛け、ファンタジーの第一線を走る上橋菜穂子の「香りで万象を知る香君」を主人公にした今作は、自然の摂理を香りで嗅ぎ分け、世界を救おうとする一人の女性の生きる姿を描き出す。ファンタジー作品の醍醐味が詰まった後編はさらに波瀾(はらん)万丈な幕開けを感じさせる。