生物から見た世界
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- ¥800
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発行者による作品情報
甲虫の羽音とチョウの舞う、花咲く野原へ出かけよう。生物たちが独自の知覚と行動でつくりだす〈環世界〉の多様さ。この本は動物の感覚から知覚へ、行動への作用を探り、生き物の世界像を知る旅にいざなう。行動は刺激への物理反応ではなく、環世界あってのものだと唱えた最初の人ユクスキュルの、今なお新鮮な科学の古典。
APPLE BOOKSのレビュー
著名な生物学者であり、同時に哲学者でもあったユクスキュルによる、1934年に出版された古典的名著「生物から見た世界」。すべての生物は一つの客観的な世界に生きているわけではなく、それぞれの種が知覚して作り上げた世界を主体的に生きているという、"環世界"と呼ばれる驚くべき概念について説明を試みている。ユクスキュルが環世界についての解説で取り上げているのは、数多くの昆虫や動物たちの生態。キリギリスを捕まえるコクマルガラスの特徴や、巣に集まるミツバチの行動など、ユニークな事例の数々には知られざる豆知識も潜んでおり、知的好奇心を大いに刺激してくれる。また、本書の主題となる環世界の、種によっては時間や空間の捉え方も違うという考えは驚きに満ちており、人間主体となって世界を眺める人々の視点に新鮮な変化を与えてくれる。世界とは何か。そんなシンプルな問いに対する気付きがあると同時に、日常生活においては違う環境で生まれ育った他者とのコミュニケーションに一役買ってくれそうな一冊。